クリーニングのトータルコンサルティング
2017年02月02日
忙しさにかまけて、相変わらず片付けの付かない事務所です。
むかし、京都の松居さんに「忙しいとは、心を忘れると書くんだぞ」と云われましたが、本当に心せわしく、気ぜわしく、先走って、何故か時間が足りないのです。
今年こそは、心穏やかに仕事を進めたいと思っています。しかし、業界の有り様を見ていると、ついついお節介が頭をもたげ、言わなくても良いことを言いたくなるのです。
これも『お客様に確かな製品・クリーニングサービスを提供してこその業者』だと考えるからです。
根底に確かなクリーニングがあって、その上での競争なのです。昨今はこの、根底をないがしろにする業者が多いので、つまらぬ内部告発的発言が生じたり、足の引っ張り合いが起こるのです。
写真左は、平成29年1月1日の事務所、私の仕事はじめの机の状況です。
真ん中の写真は、アソポリさんから毎年いただく、干支のガラス細工の置物です。今年は、酉年で私の干支です。
右の写真は、ワイシャツのクリーニング(着用・クリーニング)による変化、また、クリーニング店による違いを調査するために準備したワイシャツです。1日よりテスト開始です。
フラシ芯が高級ってほんと?
ワイシャツの芯地、多くの一般量産品のシャツが接着芯地で、高級品はフラシ芯だと言われていますが、「ワイシャツのクリーニングテスト」を始めて、着用して気付いたことなのですが、フラシ芯のシャツが以外と着心地が悪いのです。
これまで20年以上着用していたオーダーシャツ(神戸・本手づくり)、既製シャツ(アクアスキュータム)は接着芯地でした。
今度テストに使用する鎌倉シャツは、フラシ芯でした。このシャツ新品の時は、全体の糊が凄く心地良く「さすが」と感じていました。
しかし、一度クリーニングをされてきた3枚のシャツでは、台衿の部分が収縮し凸凹(おうとつ)が出来、ネクタイが滑りにくく、また、この部分が首に当たるので不快に感じました。今までのシャツでは何も感じなかったことです。フラシ芯の方が心地が悪く感じました。
先の一般的に高級品はフラシ芯だというのに疑問を持って、少し調べてみると、神戸の多くのオーダーシャツメーカーが接着芯を用いていましたし、超高級ブランド「フライ」や「プリオーニ」でも接着芯地を用いていました。
このため、急遽鎌倉シャツと同等品と考えられる「接着芯地のワイシャツ」を追加テストします。
「キチンと洗って?」
ワイシャツのクリーニングテスト始めたばかりですが、クリーニング後のシャツに「ホコリ(毛埃)」が付いていました。
現在、6枚(6社)のシャツが1回クリーニングを経た状態ですが、このうちの4枚(4社)からホコリが見つかっています。あまりに高い数字にチョット驚いています。
この問題は、洗浄の標準工程の変更に大きな要因があります。すなわち、水の減量、工程時間の短縮を考えて、すすぎの回数を少なくしたことに起因します。
洗浄後に強制排水(中間脱水)を行う、このことによりすすぎの回数を減らす会社があります。これを行うと、水量の少ない時に高回転となり汚れの一部(特に毛足のある物)が繊維に絡みついて落ちなくなります。これが、このホコリなのです。
すすぎは3回以上行う、強制排水は1回普通にすすいだ後に行う、すすぎ時にワッシャーの回転を止めない等の工程を組んでください。なお、4回すすぐと、この問題はほとんど起きません。
ただし、過負荷、洗剤の不足等もこの問題を起こす要因です。ワッシャーの呼称を負荷量と間違えたり、最近のシャツの重量を200gと換算したりすると、結果として過負荷となりホコリが残ることになります。
「キチン」と洗ってください。
昔、ヘンケルの家庭用洗濯の前処理剤として「サプティル」というものがありました。
たしか、強烈な浸透剤と粘着性の粒子を混合したものだと覚えています。
白色で、形状は練り歯磨き粉のようでした。
使用方法は、洗濯する品物の特に汚れのひどいところに塗布、すり込むようにして放置、その後、そのまま洗濯機で洗うと記憶しています。
これを、シミ抜きを行う前に、残留しているシミの原因物を取り除くのに使うと便利だったことを覚えています。
例えば、①食べこぼしの付着物の除去、②粒子的汚れの除去(インク、墨汁、花粉、ファンデーション、カレーのシミ抜きの最初の処置)に。すり込むようにして使うと、汚れを溶かすこと無くゆるめ取り除くことが出来ます。
このように、汚れを広げること無く固形物を処置してから、シミ抜きをするので、全体の作業時間が短くなり楽になります。
あの、サプティルは何処へいったのでしょうか?、家庭用洗剤として紹介されましたので、業者は自身の薬剤として見る方はほとんどおられませんでした。
今考えると、相当広範囲で利用できる薬剤のような気がするのですが、あの薬剤は何処へ行ってしまったのでしょうか?。
最も、クリーニング業界に入ったばかりの頃の話で、あまりに古い記憶なので、どのような事情でこのことを知ったのか、経緯も定かではありません。
妻が年末の片付けをしている時に「こんなん出てきたよ!」とポストカードを渡されました。
「田舎の風景」と題されました、ジュール・バスチアンバージュという人の作品でした。
日常生活での川や池での洗濯風景は、日本もあまり変わりが無いように感じられます。
「田舎の風景」 |
クリーニング工場の火災の一番多い原因は、電気によると言われています。特に、クリーニング工場の低い位置のコンセントは危険なのです。
コンセントが低い位置にあり、機器の裏側などにあると、掃除がままならなくなり、ここに毛埃が溜まることになります。
さらに、近くに水を使う機器(例えば家庭洗濯機)があると、これに湿気・水が付き、漏電・毛埃が炭素化します。この結果ショートが起こり、発火、火災という事になります。
今一度、自社のコンセントの実情を確認してください。出来れば、コンセントの位置は1m程度とし、見える、掃除の出来る場所にしてください。
写真は、俗に「たこ足コンセント」と呼ばれる状態です。コンセントの差し込まれた器具とコンセントの間に隙間があります。この隙間に毛埃が溜まり、湿気・水が付くと危険な状態になるのです。