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サービスニュース-第52巻 第9号-2 (膨潤収縮って?)

2016年11月14日

膨潤収縮って?

よくワイシャツの縮みの話が出ると、洗浄・乾燥後に起こる収縮の一部は「膨潤収縮」という現象によるという説明をされる人がいます。
ワイシャツを購入する際、売り場の方に「初めてクリーニング(洗浄・仕上げ)をすると、衿が縮むので、首回りを1cmほど大きめのものを選んでください」と言われます。
ただし、これは初洗いの話で、その後着用・クリーニングを繰り返すことには何も注意はありません。実際、多くの場合その後はあまり変化しません。
クリーニングをしている立場から見ると、衿の縮み、前立ての縮みの話は出ますが。全体が縮んだという例はあまりありません。
衿は接着心地、前立ては接着心地・縫製時の糸の張り(テンション)によると言われています。この縮みはトップヒューズの接着の方法によるといわれていて、メーカーによってはトップヒューズでも収縮は起こらないシャツがあります。
こう考えると、時々起きるこれらの例は、一般的な収縮とは異なるといえます。
さらに、初めての洗浄で起こる収縮には、布地に織るために経糸、緯糸に与えられる引っ張りが糸の糊によって保たれていたのが、糊がとれることによって起こります。
これらを除くと、洗浄・仕上げの繰り返しでは収縮の進行はほとんど見られません。
もし、膨潤収縮が問題となるような収縮を起こしているのなら、ワイシャツはクリーニングの度に、縮むはずではないでしょうか。ちなみに、膨潤収縮を起こそうと、何度か実験を繰り返し、また、継続的にクリーニングを繰り返しているのですが、顕著な変化は見られません。
どなたか、膨潤収縮の研究論文、文献等がありましたら教えてください。
以下は、大まかな傾向を探ろうと、繰り返している実験の途中経過です。
写真2-1は着用後、クリーニングに出す前に計った後身頃、写真2-2はその後クリーニングから返ってきた後身頃。いずれも、563mmでこの部分には変わりはありませんでした。
 

写真2-1 着用中の寸法
写真2-1 着用中の寸法
写真2-2 洗浄・仕上後の寸法
写真2-2 洗浄・仕上後の寸法

下の写真は、夏のシャツの繊維の変化を見ようと、綿100%の生地で行った簡単な実験の写真です。
写真で見る限り、洗浄後(濡れた状態)、乾燥後(自然乾燥)、仕上げた後繊維にさしたる変化は見つけられませんでした。
簡単な実験ですので、今後も重ねて確認してみます。

写真2-3  繊維の洗浄・乾燥・仕上による変化洗浄後(濡れた状態)
写真2-3 繊維の洗浄・乾燥・仕上による変化洗浄後(濡れた状態)

上から  洗浄後(濡れた状態)

      乾燥後

      仕上げ後

三幸社に行ってきました

11月2日(水)、東京・西八王子の三幸社の本社で行われた「内覧会」に行ってきました。
新工場への移転にともなって、機械実演・展示場、研修会・会議室、事務所、食堂が移転、リニューアルされることになりました。
私は、勉強会で展示場、研修会室をお借りできるかの打ち合わせをかねて、出席させてもらいました。立派な設備ですので、専務に了解をいただき来年度勉強会の「シミ抜き」「仕上げ」「機器メンテナンス」の講座に使わせてもらうことにしました。
 

写真2-4 三幸社・内覧会の情景
写真2-4 三幸社・内覧会の情景

無事に終了しました

10月4日(火)第十七回「毛利春雄セミナー公開講座」を無事に終えることが出来ました。これもひとえに皆様方のご支援の賜物と深く感謝をするものです。
当日は台風の沖縄への接近も伝えられる中、当日キャンセルも覚悟しておりましたが、ご予約の通り満席のお客様を迎えて、盛況のうちに終えることが出来ました。
また、懇親会もいつもよりも多くの方がお話に花を咲かせているようでした。                  
講演内容については、お話しいただいたそれぞれの講師・会社の了解を得て、「毛利レポート」に掲載したいと思います。
内容については、私が記するよりも日本クリーニング新聞、全国ドライ新聞の方が冷静にお聞きになられたと思いますのでそちらを参照ください。
私自身の事を述べると、時間の割に多くのものを伝えようとして、急ぎすぎてしまったようです。この同じ話を90分ほどかけて話してみたいと反省しております。
また、他の講演者のお話では、よく聞くと面白い話なのでしたが、私の講演依頼の趣旨が上手く『伝わらなかった』ようで、皆さん少し大上段に振りかぶったお話が多くを占め、もうちょっと具体的事例が沢山示されることを期待していたのですが。
  また、私が「ぜひここを話してほしい」と思っていた事例が、少し控え目に披瀝されたのが残念でした。
アジプロ・ココアルについては、「紙が動く」の持っている可能性は広く、私たちにも多くの扱い方が考えられ単に販促の利用だけでなく、クリーニングの実態の伝達、衣服ケアの情報発信等々に従来のチラシとは大きく異なる印象を与えることが出来るのではと思うのです。
また、ヤマトのオンデマンドDM、T-ポイントのデータ活用では、エリアマーケティングを展開する上でに大いに役立つと思うのです。これに、従来から蓄積されているレジデータを組み合わせれば、まだまだ私たちの出来ることはあるのでは?と、お話を聞きながら考えました。
三幸社の打越氏の話には、従来頭の中によぎっていた「クリーニング業者と機械メーカーの境界」への疑問に一定の方向を見いだした思いがしました。
『トヨタは車の機能は教えてくれるが、運転方法は教えてくれません』という世間一般のありように比べると、この業界では何かというと『そんなことは機械屋は教えてくれなかった』とクリーニングの方法を教えなかった機械メーカーが悪いというのです。
しかし、いまさらこの関係が変えられないのなら、情報の豊富な機械メーカーが業者の領域に踏み込んで、いろいろな方法を提案するのを良しとしましょう。
ただし、このような関係を深くするならば、クリーニングの知識を持って業者の領域に入ってきてください。
 

公開講座案内
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会場風景
会場風景
懇親会風景
懇親会風景

お話をされる講師の方々(敬称は略させていただきます)

株式会社アジプロ 増田淳一さん
株式会社アジプロ 増田淳一さん
ヤフー株式会社 千葉尚之さん
ヤフー株式会社 千葉尚之さん
ヤマトシステム開発株式会社 篠原大介さん
ヤマトシステム開発株式会社 篠原大介さん
株式会社三幸社 打越圭介さん
株式会社三幸社 打越圭介さん

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