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サービスニュース-第52巻 第4号-1

2016年04月06日

「洗う」で感じたこと

「クリーニングの理論と実際」の勉強会で、参加各位のランドリーの洗浄工程を聞いるうちに、いろいろな疑問を感じました。この疑問を考えているうちに洗うに関連する多くの事例が出てきました。以下、ランダムに事例を述べてみます。

 

『毛ぼこり』
毎回冬になると、「ワイシャツに毛ぼこりがつくのですが」という問題が出されます。この疑問は多くの場合、営業・店舗の方から出されます。
このことは、仕上げ時に対処し切れていないで、お店・お客さまが見つけているということです。
この毛ぼこり、多くはニット(セーター、ニットベスト)等からの、毛クズです。従って、寒い時期になるとこの問題が多くなるのです。
この問題を完全に解決する方法は無いのですが、極端に少なくすることは出来ます。
原因① 洗浄後の排水時に、ドラム回転の止まるワッシャー。→このこと は、ワッシャーが止まったときに汚れた水が被洗物を濾紙のよ       う にして排水されます。
原因② 洗浄後そのまま強制排水(中間脱水)に入る。→毛ぼこりは糸・ 繊維の形状ですので、布地に対してある方向を取ると取れにくくな ります。
この状態で、低水位のままいきなり絞ると、毛ぼこりは、布地に押 しつけられたり、入り込んでしまいます。結果、後のすすぎでは充 分に取れないことになります。
  対処;洗い工程の後はそのまま排水(ワッシャーは回転を止めない)、通 常の液面(高)ですすぐ、強制排水はその後行ってください。汚れ の排出量はこれをどの時点で行っても同じはずです。


『洗いの回数』
勉強会の中で疑問が生じましたので、緊急に「ワイシャツ洗浄工程調査」を行いました。詳しくはいずれ「毛利レポート」で公表いたします。
約60%の方が一回洗いを採用されています。洗浄時間は平均15分程度でした。が、中には25分洗う方もおられました。しかし、古くはワッシャーの回転数が14~16回転/分でしたが、現在は35~45回転/分で、今のことを考慮すると、条件(液面、温度等)が整えば、15分でも充分と考えられるのですが。
意外と多くの方が二回洗いを採用しているのだと思いました。  ただし、二回洗いの考え方の違いからか、内容はずいぶんと異なっていました。
一回目の洗浄時間が1分、二回目の洗浄時間が15分。一回目の洗浄時間が2分、二回目の洗浄時間が8分の方。これでは、洗剤の効果(溶解・拡散・反応)が出るまもなく、何のための二回洗いなのか解りません。
また、二回目の洗浄温度を一回目の洗浄温度よりも高くするのは良いのですが、一回目のすすぎ温度を下げています。これでは、綿の収縮が起こり洗浄から見ると逆効果です。
一回目のすすぎ温度は、洗浄時と同等かそれよりも高くとらなければなりません。温水(ドレンの熱交換)はあまっているのですからしっかりとすすぎましょう。
なお、洗浄工程でクールダウンをしないと、仕上がり時に小皺が残り、仕上げの手間を要する。等といわれますが、これは、プレスの仕上げ温度が低いためです。


『すすぎの回数は?時間は?』
家庭洗濯との最大の差はすすぎの回数です。ちなみにすすぎは多いければ多いほど良い。とされますが、最低でも4回(強制排水はすすぎ2回に相当するとされています)といわれます。
調査では、すすぎ3回+強制排水1回、すすぎ3回+強制排水3回とそうじてよくすすいでいることが解りました。しかし、すすぎ時間3~5分とあり、条件が整えば(液面・温度)3分以下でも良いという考えからは遠いようにも思いました。


『洗浄時の小皺(シワ)・クールダウン』
洗浄工程が終了(脱水)するときには、クールダウンされていないと、ワイシャツに小ジワが残り、プレスでこれが取れないと云う話が時々出ます。また、このために、ワイシャツを結束すると「結束のシワ」がプレスで取れないと云われます。
しかし、常温でのすすぎが3回以上される場合は、特にクールダウンなど考えなくても温度は下がっています。この時に出来た「結束シワ(結束の位置に注意しています)」はプレス機によって取れています。
ただし、袖がプレスされない場合、蒸気圧が0.7MPa以上でないと取れない場合があります。写真1-1~写真1-6参照。
ただし、すすぎ回数が少ないと、温度が下がらない可能性があり、この時のシワは取れません。
写真は、洗浄時ゴムバンドで結束、三幸社のプレス機で仕上げている様子です。
仕上げ(プレス)前、「写真1-1、1-4」と仕上げ後、「写真 1-2、1-3、1-5、1-6」を撮したものです。

写真1-1
写真1-1
写真1-2
写真1-2
写真1-3
写真1-3
写真1-4
写真1-4
写真1-5
写真1-5
写真1-6
写真1-6

☆以下、糊付け、脱水、洗剤量といろいろと解りましたが、詳細は後日「毛利レポート」を参照下さい。
 

稲田特別講師にお手伝いいただきました

「クリーニングの理論と実際」の勉強会で、稲田裕義氏(アクト株式会社)に特別講師としてお手伝いいただきました。
「第8章ランドリーの資材」以下では、実験による見て覚えてもらいたいことがことが多いので、手際が悪くなっている私に変わって「実験を見せてもらう」「洗剤を扱う立場から話してもらう」、事をお願いしました。
大変好評でしたので、今後の「第9章 ドライクリーニング溶剤管理の実際の方法」「第10章 ドライクリーニングの資材」にも、お手伝いをお願いしました。
 

写真1-7 実験をする稲田講師
写真1-7 実験をする稲田講師

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