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サービスニュース-第51巻 第5号-1

2015年07月08日

三幸社のPTBセミナーに参加しました

6月8日(月)三幸社・本社で開催された、セミナーに参加させてもらいました。
この日の会合は、取扱い表示義務者・アパレル側との交流をと、意図されたようで多くのアパレル、繊維検査機関の方々が参加されていました。
セミナーでは、「新JISへの対応」を議題とされた繊技協の鷲見繁樹氏の話の中に、気になる事がありました。この方も、私と同じようで、同一の議題を違った場所で話されるときにはチョットずつ異なった例を取り上げられるようでした。
今回も、そのような話の中、「組成表示の義務がない」「樹脂加工、顔料などの表示義務がない」などとあり、とすると今ある「組成表示」はメーカーの自主的判断ということに気付かされました。また、表示取付者と取扱者(クリーニング業者)の責任の範囲がハッキリとはしていないと、話されていたことも気になりました。
 

写真1 セミナーでの鷲見氏
写真1 セミナーでの鷲見氏
写真2 参加企業の紹介
写真2 参加企業の紹介

 

また、ワイシャツがプレスによって収縮するという趣旨の話が出されましたが、もともと、綿は収縮する、綿の収縮を利用して仕上げるのがプレスの仕上げ原理である以上、多少の(1~2%)以内の収縮はメーカー、顧客ともに織り込み済み(了解の上)であると考えます。
この収縮も、洗浄時の膨潤収縮がプレス時の収縮以前に起こっていると見られ、プレス時の収縮をどのように捉えるのか、洗浄時の寸法がプレスによってどの程度変化しているのか実験データーが少ないので判断がつかないのです。
私の手元にある、形態安定シャツのデーターによると、以下のような変化となっています。(図表3 )
これを見る限りプレス時の収縮よりも、洗浄時の収縮が問題です。黒・大数字は寸法。赤・小数字は収縮寸法。
さらに、これらのシャツその後洗浄・プレスを繰り返しても大きな変化は起こりません。ただし、ストレッチプレスによる処置は、収縮を少し回復します。
 

図表3 シャツの収縮データー
シャツの記号

新品の衿

洗浄後の衿                     プ  レ ス 後 の 衿
  mm mm  mm  0.3MPa          mm   0.7MPa
    A    472    465    -7   467     -5   466     -6
    B    470   458       -12   465         -5   465           -5
       D    447   437       -10   440         -7   442           -5
       E    470    466        -4   467         -3   465           -5
       F    470    466        -4   465         -5   467           -3
    A’    472    462       -10   464         -8   466           -6
    B'    473    460       -13   464         -9   462           -11
       d    478    440       -38   456         -22   442           -36
    e    470    468        -2   470        0   470              0
    f    467    457       -10   464        -3   464             -3

      

          ※シャツdの原因はわかりません。

ウェットクリーニング現場のための予備実験

新JISにおいてウエットクリーニングという表示が用いられることになりました。この中で、ウエットクリーニング・MA35~65、同アンダーバー・MA20~35は従来からの方法でクリア出来そうですが、ウエットクリーニングダブルアンダーバーの・MA20以下での処置には簡単には対応できないと推察しました。しかし、今現実的にこの問題の解決がせまられているのです。
このような状況の中、ワッシャーの機械的要因の内、どの要素がより影響力が強い(高い)のか、どのような状況を作り出せばワッシャーでの処置が可能となるのか、そのための基礎実験をしてみました。
実験は、6月9日(火)、株式会社不二ドライで社長・岡崎善胤氏の協力の下に、TWE-18E・JIMS16Kgのワッシャーで行いました。詳細は、毛利レポート(8月予定)をご参照下さい。
従来のワッシャーを持って、ダブルアンダーバー(MA値20以下)の処置をするのは繊細な工程が必要と知ったことです。


 この結果さらに実験をしなければならない問題として
①洗浄時間の要因追求→時間を変えて実験を進める
②液面の制御→高水位でMA値が高く出ました
→負荷率の追求(商品の挙動を見て)
③脱水工程の改善→バランス回転による揉み効果の増大
④ネットの使用→いろいろなネットによるMA値の違いを探る
⑤負荷布使用時と一般衣料品添付との差を知りたい
等々の問題点が出てきました。出来れば、この問題を気にする団体が一緒になって、ウエットクリーニングのための基礎データー作りに取り組んでもらいたいと願うのですが。
写真は、図表4が〔洗浄2分×1回、排水1分、すすぎ2分×1回、
回転2秒・停止10秒、脱水1分〕
          図表5が〔洗浄2分×1回、排水1分、すすぎ2分×1回、
回転2秒・停止10秒、脱水無し〕
図表6が〔洗浄2分×1回・高液面、排水1分、すすぎ2分×
1回、回転2秒・停止10秒、脱水無し〕
 

写真4 脱水までネット MA24
写真4 脱水までネット MA24
写真5 脱水別ネット MA19
写真5 脱水別ネット MA19
写真6 高水位ネット MA26
写真6 高水位ネット MA26

 

この結果だけ見れば、ネットの使い方を工夫すれば何とかなるようにも感じられるのですが、結論を急いではいけないと思い実験を重ねます。
 

勉強会の風景

今年は、特別議題による研修会を開催していないので、時々「今年は勉強会をしないのですか?」と声をかけられます。
しかし、昨年よりも日程がタイトな上に、MA値に影響を及ぼす要因を求めるテストや、ワイシャツの仕上げ評価、ワイシャツの収縮に関する連続テスト、ドライ溶剤管理の評価等々やること、やりたいことが詰まっているので、既に決まっている勉強会で手一杯なのです。
決して、勉強会・講習会もやっていないわけではないのです。写真は、クリーニング会社・社内での「クリーニングの理論と実際」の勉強会風景です。写真には写っていませんが20名近くの参加者で行っています。
 

写真7 社内での「理論と実際」の勉強会風景
写真7 社内での「理論と実際」の勉強会風景
写真8 機械メーカーの見学・研修会
写真8 機械メーカーの見学・研修会

説明するクラウンクリーニングの小泉社長

写真9 基礎的勉強会・関西
写真9 基礎的勉強会・関西

「シミ抜き」を話す、特別講師・山田氏

水が入っているでしょ

梅雨時、それでなくても湿度が高く溶剤湿度が不安定なうえに、濡れた商品が入る可能性があるのです。このことは溶剤中の水分が過多になるということです。
多くの場合、稠密に織られた衣服(紳士物の衣服)では、商法の水分では収縮は見られないのですが、しかし、時々写真10のような商品が流れている場合、これは「水」のせいなのです。このような工場では、商品に小皺のあるのが普通のようで、従業員だれもが「おかしい」と思わないのです。でもこれは明らかに溶剤中の「水」のせいなのです。
 

写真10 小皺のある上着
写真10 小皺のある上着
写真11 縮んだジャケット
写真11 縮んだジャケット

梅雨時、チャージシステム(特にコールドマシン)で仕事をされる方には、ワッシャー毎に「綿布」を入れることをお勧めしています。

これによって、ワッシャー内の水分を吸収してもらい、商品への影響を防ぐのです。何故、守れないのですか?
 

チョット緊張感を持って仕事を

衿をどこで折っているのですか!?

写真のワイシャツ、異なる工場での仕事ですが、チョットひどいと思いませんか。
写真12、13、14は、衿が間違って折られており、着用しボタンを止めようとしたら衿が変になるのです。脱いで確認したら、衿がキチンと折られていないための現象でした。
写真12→図中 が誤って折れれた位置、  が正しい折り位置。ハンガーに掛けて(写真13)確認しました。とにかく衿ががたがたになっているのが見て取れます。
直そうと思っても糊が効いていて簡単には直らないのです。(写真14)

写真12
写真12
写真13
写真13
写真14
写真14

これは仕上げている人の責任です

 写真15は、前項と同じ「衿の折り位置が間違っている」のです。実はこのミス以外と多いのですが、余りうるさく注意しているように感じられないのです。
夏季のように「クールビズ」でネクタイをしない用だと、着用しても気付かない場合もありますが、ネクタイをする人にとっては「非常に腹立たしい」のです。
写真16では、さすがにお客さまも文句を言うと思うのですが・・・管理者は?作業者は?どのように感じているのでしょうか!?
 

写真15
写真15
写真16
写真16

〔もっと緊張感を持って仕事をしようよ〕

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