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サービスニュース-第51巻 第3号-1

2015年05月01日

販促・ガイドブック

それぞれの業界において、各々の販促をかねて各社各様の「ガイドブック」「利用方法のための冊子」を出しています。
この時、大切なことは『お客さまのために』『お客さまが得をする』という考え方が示されることです。ついついお客さまのためにと言いながら、上から目線で書いてしまったり、くどくどと書いてしまいがちなのです。
写真1は、「お客さまは、こう利用すればお得ですよ」と解りやすく作られています。しかし、多くのクリーニングの上手な利用法をお知らせする冊子は、必ずしもお客さまが「解りやすい」「得をした」「なるほど」と思っていただけるように書かれているとは思われないのです。(写真は一部編集してあります。また、写真は固有の著作物ですので勉強の目的以外では使用しないでください)
 

写真1 クリーニング便利帳
写真1 クリーニング便利帳
写真2 暮らしのニュースレター
写真2 暮らしのニュースレター
写真3 クリーニングの上手な利用法
写真3 クリーニングの上手な利用法

「クリーニング便利帳」は大変解りやすく書かれています。これを見たときに、他の業界での同様の刊行物がいろいろと思い出されました。
一番最初に思い出したのが、ANAの出張研究所という、全日空の上手な使い方をガイドした冊子でした。同様にANA「マイレージクラブ」の冊子、ディズニーランドのガイドブックと頭に浮かんできました。
 

写真4 ANA出張研究所
写真4 ANA出張研究所
写真5 ANAマイレージクラブ
写真5 ANAマイレージクラブ
写真6 ディズニーランドガイドブック
写真6 ディズニーランドガイドブック

そして極めつけは、ラスベガスでもらった「ブラックジャック攻略法」なるペーパーです。曰く『必ず勝てる』と渡されました。しかし、お客さまは決してこのようにされないので、カジノが勝つのだそうです。
 

写真7 ブラックジャック攻略法
写真7 ブラックジャック攻略法

※左側、緑色で囲われた数字は自分のカードの合計。Aは1または11。
上部、黄色く囲われた数字は、親の開かれたカード。
H=はヒット(もう一枚引く)。
S=スタンド(カードを引かない)

 D=はダブルダウン(掛け金を倍にしてもう一枚引く)

 SP=はスピリット(二枚を分けて、同額の掛け金を払い、それぞれの カードで勝負する)
  ※例えば、自分の二枚のカードの合計が13で、親の開かれたカードが2 ~6の場合はスタンド、7以上の場合はヒット。自分は同じ13でもエ ース(A)と2であれば、親の開かれた数字が2~4の場合はヒット、 5,6の場合はダブルダウン、7以上の場合はヒットとします。

啓蒙活動

クリーニングの啓蒙活動で多いのは、汚れの性質と落とし方、ドライクリーニングとランドリーの違い、衣服の特徴、繊維の性質、クリーニングの利用法等々を解説したものです。
なかなか、働く人に言及したものは少ないようです。古くは仙台空港で、飛行機の仕様と名称を解説した写真、最近では伊丹空港で、「飛行機と働く人々」という全日空の作った写真を見ました。
いずれにしても、クリーニングでこの視点から作られた啓蒙資料は無いように思うと同時に、あればクリーニングを身近に感じていただけるのではと思いました。        

 写真1,2は、クリーニングで言えばカウンターの担当者であり、配送担当者です。
 

写真8 キャビン アテンダント(客室乗務員)
写真8 キャビン アテンダント(客室乗務員)
写真9 パイロット(運航乗務員)
写真9 パイロット(運航乗務員)
写真10 飛行機をコントロールしている人々
写真10 飛行機をコントロールしている人々

写真3は工場管理者、4,5は工場の洗う担当者であり、仕上げる担当者です。写真6は入荷、整理・包装・出荷の担当者です。

 

写真11 飛行機の周りで働く人々
写真11 飛行機の周りで働く人々
写真12 整備・点検を行う人々
写真12 整備・点検を行う人々
写真13 グランドスタッフ(地上係員)
写真13 グランドスタッフ(地上係員)

クリーニングの工程を述べて、これに写真を付けて解説したものはあるのですが、どう見せたら興味を持っていただけるか、どう解説したらわかっていただけるか、お客さまの視点から作られたものが少ないのではと感じられるのですが。
 

品質表示の付記記号と実際の対処

改正JIS(品質表示が変わる)について、いろいろと対応議論が進んでいるのは知られていますが、一方、ランドリーの「洗う表示」は家庭洗濯が中心と言うことでワイシャツへの言及はありませんでした。
しかし、我が国では製造されたワイシャツの35~40%が業者に出されているのではないかと推察される中、製造各社が各々付けられる品質表示の付記記号と実情が、あまりにもかけ離れているのではと考えるのですが。
よくクリーニング業者とアパレル業者が同一のテーブルで話し合われ、情報交換すべきではないかと言われますが、ワイシャツの問題が取り上げられたことはないように思われるのですが。
  形態安定の考え方、接着芯地(ヒートテック)の問題、前立ての縮みの問題、洗い方の問題等々話し合うべき事柄は多々あると思うのですが、このままで、本当に良いのでしょうか。
写真14は、形態安定シャツに付けられたいろいろなタグです。
ここでの取扱表示には「綿製品なので若干のシワが残るので選択後のケアに軽いアイロンをおすすめいたします。」とあります。
 

写真14 形態安定シャツに付けられたタグ類
写真14 形態安定シャツに付けられたタグ類

以下、各社のワイシャツに付けられた形態安定シャツの「取扱注意」を取り上げてみました。
これらの注意事項は本当に「クリーニング業者のために」記載されたのでしょうか、それとも取り合えず記載しておけば「後はクリーニング業者が何とかする」と考えたのでしょうか。
いずれにしても、この取扱注意のように処置しているクリーニング業者にはお目に掛かったことはないのです。
写真15は、「衿、カフスは糊付けをしないで」とあります。業者の洗浄・プレスで衿が5mm(1.1%)の収縮。
写真16は、「トップヒューズを使用、高温、高湿プレスはさけ、糊付けはしないで下さい」とあります。業者の洗浄・プレスで衿が5mm(1%)の収縮。
写真17は、特に注意事項はなく、業者の洗浄・プレスで衿が10mm(2%)の収縮
 

写真15 綿100%の形態安定シャツ
写真15 綿100%の形態安定シャツ
写真16 糊付けはしないで
写真16 糊付けはしないで
写真17 注意事項なし
写真17 注意事項なし

ワイシャツの衿

ワイシャツの衿の仕上がりが悪い、と言われて意外と直らないのが、衿と台衿の折り方です。
この台衿と衿の折り方については、首の後の方に注意する方は多いのですが、台衿の手前側(ボタンの近く3~5cm)の折り方に注意出来る方は少ないようです。
この部分がキチンと折られていないと、ネクタイをキチンと締める方にとっては大いに不満が残るのです。この部分、いざ着用という段になってからでは、糊が効いてしまって折ることが難しいのです。
十数年前家庭の事情により、アパレル会社の重役からクリーニングの重役に転向した方が言われていました。
「先生、うちのシャツどうしてここがキチンと折られていないの?」「毎朝、ここを直してから着るのですが、腹が立って!」。
いろいろな業者の仕事を見せてもらっていると、写真18のような、ワイシャツでも時には出来上がり製品として流れてくるのを見ていると、衿の折り方まで注意している業者が少ないのは解るのですが、このままで良いわけはないと思うのですが。
考えてみればカウンターの担当者、仕上げる方々、クリーニング業者自身が殆どネクタイを締めないとなれば、この部分をうるさく言う意味が解らないのかも知れませんが。
 

写真18 衿が折られていないシャツ
写真18 衿が折られていないシャツ
写真19 衿がキレイに折られているシャツ
写真19 衿がキレイに折られているシャツ
写真20 これでも仕上げたの?
写真20 これでも仕上げたの?

仕上げていますか?

写真はいずれも「ズボンの仕上げ後」を撮したものです。いずれの場合も、仕上げた方はこの状態に気付いていません。
  こんな状態のズボンが届けられて、着用された後に気付かれたお客さまは
どんな気持ちを持たれると思いますか。決して「しょうがない」などとは思わないはずです。
私は常々、クリーニングの出来上がり(品質)とは、ワイシャツとズボンと話しています。なぜなら、出来上がりの「出来」「不出来(シワ、2本線等)」評価が歴然としているからです。
ズボンでの仕上げの注意点は、①二重ライン(2本線)、②パンツトッパーとレッグプレスの境目、③脇の折り返しに出やすい当たり。の3点と考えています。
しかし、写真21 はレッグプレスの腰部に出たシワです。これは一見プレスされた部分とされない部分の差のように見えますが、よく見ると布地が中央(写真上下の真ん中)に寄せられて出来たシワです。これは、パッドが厚すぎたり、密着しないで起きている、パッティングミスです。
多くの場合、使用したパッドが厚すぎて起きる現象で、パッドが厚いとプレスのアール(曲がり)分だけ、上ゴテで押し込まれる(沈む)部分が多くなり、シワが付くことになります。この現象は、ワイシャツのカフスに出来るシワと同じ現象です。
また、写真22、23は蒸気が機能(ベーキング)していない現象で、蒸気の圧が強すぎ、さらに、プレス事にバキュームが効いているようなときに起きる現象です。
ズボンは一見プレスされたように見えるのですが、本来プレスで整形される布地(シワ)が整形されないままになります。
 

写真21 シワを作られたズボン
写真21 シワを作られたズボン
写真22 一見普通のズボン
写真22 一見普通のズボン
写真23 シワのあるズボン
写真23 シワのあるズボン

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