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サービスニュース-第56巻 第7号-2(生兵法は大怪我の元)

2020年07月06日

生兵法は大怪我の元

テレビで「プロのテクニックを応用・蘇る撥水加工」と言う例を紹介していました。
撥水性の劣った傘、乾いた状態でヘヤードライヤーをまんべんなく当てると、撥水性加工の効果が戻ると話されていました。
布製の撥水加工の効いていた傘、時間の経過と共にしまう時の摩擦などによって、特に布地が折れるような部分は、フッ素樹脂がつぶれたようになり撥水加工が効かなくなります。しかし、ここにヘアードライヤーを当てることにより樹脂加工が起き上がるようになり、よく効くようになると説明されていました。写真2-1.
当てる目安は、傘の骨の間を15秒ぐらい掛けて2往復、傘1本で5分ぐらいとのことでした。
 

写真2-1
写真2-1

この事は、衣服の撥水加工にも応用できますと、簡単に話されていました。しかし、汚れの付いたままの衣服、80℃近いドライヤーにあたれば汚れを熱着(焼き付ける)ことになり、汚れが落ちなくなります。この事によりきれいにならない衣服は誰が責任を持ってくれるのですか。
「新型コロナ対策」の話にも出ていましたが、例えば「次亜塩素酸ナトリウム」を希釈して使用するに、強い薬品だからと消毒効果があると、おざなりの希釈をすると、「肌荒れ」「衣服の脱色」「穴あき」などが発生します。酷い時には、健康障害も起こるのです。
また、「家庭で出来るしみ抜き」などでも良く出る話ですが、付いているシミと対応する薬品の事を取り上げて「落ちた」などと云われていて、これを素人が鵜呑みにして、アセテートに付いたマニキュアを除光液で処理するなどということをすれば、衣服に穴が空くような損傷を起こします。
良く効く処置、強い薬品には、その分副作用(リスク)があるのです。この点を良く理解して用いなければなりません。
こういうのを「生兵法は怪我の元」というのです。
 

不満です! 何故「水で洗ってもらえないの?」

この手のシャツ、クリーニングに黙って出すと、多くの場合ドライクリーニングされて返ってきます。酷いときには、袋を開けると饐えたような臭いがするのです。
業界人としては理由は解るのですが、着用する立場としては「臭わない」「さっぱりとした」シャツが着たいのです。多くのお客様にとって、これが水で洗っていないためとは理解はしていないと思います。
でも、衣服を扱うものとして見れば、よりよい洗浄方法を提供(少なくとも提案)するべきだと思うのです。
 

写真2-2
写真2-2
写真2-3
写真2-3
写真2-4
写真2-4

写真2-2は、麻100%・平織りのシャツ。写真2-3は、綿100%・シアサッカー織りのシャツ。写真2-4は、綿100%・パイル織りのシャツです。
この手のシャツを「どのように洗いますか」と問うと、経営者の多くは「水(ウエット)で洗う」と答えるのですが、現場・現場責任者の多くの方が「ドライクリーニング」と答えられます。
ここに、クリ-ニングサービスを提案している経営者の態度と実際に仕事を師している現場の意識の差が現れているのです。そして、その矛盾をお客様は知らないで利用しているのです。
経営者は「シャツにとってよりよい洗浄方法を」と思い、現場は「お客様からクレーム(変形、納品の遅れ)の出ないように」処置をするのです。 この問題は、経営者がシャツに対する理解不足から生じているのですが、この事に気付かないままに、現場任せにしている結果なのです。
 

写真2-5
写真2-5
写真2-6
写真2-6
写真2-7
写真2-7

写真2-5,2-6は、綿100%・シアサッカーのシャツ、カウンターで「水でお願い」と言って出したシャツとそのタグです。
タグには「ドライクリーニング」の表示はありません。表示の趣旨からして当然ドライクリーニングできますが、このシャツにとって一番適切な洗い方が表示されていると見るべきでは無いでしょうか。
同じような着用をされる「ワイシャツ」が、水で洗われるのに、何故、このシャツがドライクリーニングされるのか解りません。

 

不満です! デラックスでは取り除いてくれるのですか?

最近シャツを出すと、ほとんどのシャツのボタンにアルミ箔がかぶせてあります。写真2-8.これ、予備のボタンまで入れると13ヶ、はずすの面倒なのです。特に急いでいるときには「イライラ」とします。ちなみにこのシャツは、カウンターで担当者が「水で洗った方が良いわね」とドライ「×」とタグに書き込みました。写真2-11.
ワイシャツのボタンに貝ボタンを使っているからといって、アルミ箔がかぶせられたことはありません。写真のようなシャツが、ワイシャツよりも過酷な洗い方をされるとは思えないのですが、何故、このシャツのボタンにはアルミ箔がかぶせられるのですか。
また、デラックスで出すと、これを取り除いて納めてもらえるのですか。

写真2-8
写真2-8
写真2-9
写真2-9
写真2-10
写真2-10
写真2-11
写真2-11

業界の人間としては多少の理解出来るのですが、お客様にとって「解ります?」と問えば、解って頂けるかも知れませんが「ワイシャツよりも強く洗うの?」「ワイシャツのボタンは保護されないの?」と聞かれるかも知れません。
少なくとも私は『面倒くさいのです』。

 

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