クリーニングのトータルコンサルティング
2020年06月01日
玉井さんからのお手紙に対するお返事
お返事ありがとうございます。折角のレポートであり、疑義なのでお返事を書かせて頂きました。なお、内容を公開したテストへの解析並びに疑義と思いましたので、お返事も公開させて頂きました。
〔目的と意義〕 最初に上げられた、このテストの目的ですがクリーニン グの安定が必要だと感じ、どこがお客様に不満・不快を与えてるか、長 期的に安定した品質が維持されていないかを知って、お客様の信頼を得 るために何が欠けているのか考えてほしいと、はじめたテストです。
従って、第一義的には不良品の内容(洗浄ミスによるホコリの付着、 プレス不良によるシワ、セットミスで発生する首回りの収縮、衿の折り 方のミス等)、不良品率(発生率)、洗浄効果(汚れが残ったか?、ホコ リの付着等)等々が知りたかったのです。
※着用状況をなるべく同等にと考え、着用者を私一人で行っていますので、サンプ ル数が多いだけテストが進みません。さらに、シャツのカジュアル化に合わせて 、この種のテストも行っていますので、進捗が遅くなっています。
※ワイシャツの平均使用年数;現在ですと、1着週1回の業務用洗濯す ると80回程度まで損傷が見られないとすると、年間37週(週休2 日制)、2.1年となり、現状の賠償基準は業者に有利な状態です。
※クリーニング側に基礎資料が少ないことは事実で、家庭洗濯の実験、メーカーの 資料を引用したりしています。このため、曖昧な答えを出さざる終えない事が多 くあります。
※図表は、玉井さんのレポートと重複しますが、いちいち見返さなくていいようにしました。
〔重量変化〕 重量変化に考えられる要因は、初期に糸、布地に付けられ た樹脂剤が洗浄により脱落と糊の付着の違いのせいではないかと考えて います。
これが、洗い回数が進むにつれて安定するのは、樹脂の脱落が安定し、 糊付けが一定になるせいだと推察しました。サンプル毎の差は、糊付け 量とプレス要素(蒸気圧、時間)によるものだと推察しています。
図1 洗濯によるシャツの重量変化 |
〔前立て寸法の違い〕 前立ての寸法の違いは、シャツのセット手順・方法が異なる(作業手順の不徹底)からだと思います。機械へのセット方法はどの機械もほとんど変わりません。シャツのサンプルが2種類なのでそのような傾向にあるはずですが、結果はバラバラです。
図2 洗濯による寸法変化(前立て) |
〔首回り寸法の変化〕 首回りの寸法がサンプルにより大きな差が出てい るのは、ストレッチ機構が付いた機械と付いていない機械の違いだと推 察します。
同じサンプルなのに寸法が異なるのは、ストレッチ機構の無い機械で のセットの違い(作業手順の不徹底)によるものだと思います。
図3 洗濯によるシャツの寸法変化(首回り) |
玉井レポートから;全ての数値から、各ワイシャツの表記3項目の、数値の最大値と最小値、そしてその幅をご紹介しました。
グラフは、この応答の趣旨に合うように、玉井さんの作られたものをそのまま引用しました。
表1 洗濯によるシャツの重量と寸法の変化 |
これで、お返事とさせて頂きます。
玉井クリーニング科学研究所・玉井所長よりお手紙
第5回中間報告、見方を変えれば (765KB)