クリーニングのトータルコンサルティング

サービスニュース

サービスニュース一覧

サービスニュース - 第50巻 第5号-2

2014年08月01日

改正・新JISに思うこと

ようようISO-JISの整合化がなって、JISの改正・施行の運びとなるようです。
このような状況をうけて、クリーニング業界も対応を迫られるわけですが、皆様方は真剣に考えられているのでしょうか。この問題に対してクリーニング業者が受ける影響に無関心のように感じられるのですが。
絵表示の変更ぐらいに軽く考えられていて、いずれ、表示の説明があるので、これを聞いてから対処すればと悠長にされていませんか。
問題はそんなに簡単なものとは思えないのですが。これに対してアパレル側は今までと違って真剣にクリーニング(ドライクリーニング、ランドリー、ウェット クリーニング)を勉強すると思われるのです。-以下引用部分は「パンドラ」品質情報研究所刊からで、引用部分は『』で示します。詳しくはパンドラをお読み 下さい。
※以下の文章は、決してパンドラを批判しているわけではありません。あくまでもこの問題に真剣に向き合っている記事を読み、これに対する疑問を記したものです。

 

1.アパレルが真剣になるわけ

 

アパレルは繊維製品を、ドライ機実機によるテストが要求されています。
『・・・前略・・、最終製品を、実用のドライクリーニング機械で洗浄から乾燥までの工程を一貫して行うということです。・・・中略・・・、従来のドライ石 油系表示を行い、付記表示として「タンブル乾燥禁止」「静止乾燥機を使用してください」としていた表示は不適当ということになります。・・・後略。』
これを読めば、今まで「ドライクリーニング・自然乾燥?」みたいな例に対するトラブルは大幅に減少します。このためには、アパレルは勉強せざるおえなくなります。

 

2.私達も真剣にならなければ

 

しかし、ウェットクリーニングでは対処のための真剣な取り組みを迫られています。
何故ならば、従来行われてきたドライクリーニングから派生したウェットクリーニングと異なり、ドライクリーニングとランドリーの間に位置するウェットクリーニングとしての扱いをしなければならないからです。
このことが問題になるのは、ウェットクリーニングのテスト方法、ウェットクリーニングの結果が定められ、これが、従来のウェットクリーニングではクリアできないからです。
従って、新たな対処・対応方法を確立しないと、この表示の商品が扱えなくなる可能性すら考えなければなりません。
『・・・前略・・・、表示側からすれば、近年急激に増加している顔料染め、樹脂コーティング、ボンディングラミネートなどの親油性化学樹脂を含む製品については、ドライクリーニングを避けウェットクリーニングを指定する傾向になるかもしれません。』・・・後略。

 

ウェットの処理はMAの値に応じて処理方法が異なるわけですが、このアンダーバー1本、同じく2本について充分に理解されているとは思えませんし、すぐに対処できる業者は非常に少ないと思われます。
このような中、アパレルは上記の理由から図表2のような表示をされることが多くなるのではないでしょうか。
このようなときお客さまにどのような説明が必要になるのでしょうか。急ぎ勉強を迫られているように感じるのですが。

 

3.ウェットクリーニング・脱水と乾燥に対する疑問

 

この際、示されている洗浄テスト(洗浄方法)は別として、結果はMA値として求められています。これを、クリアしたとして、仕上げのための脱水・乾燥の問題に疑問が生じました。
①ウェット商品の荷重は、機器表示の荷重何割ぐらいが適正なのでしょうか。実際の洗浄時には、機器荷重の数分の1以下と考えますが、時に正荷重(機器の表示通り)がかかる危険性があります。
②脱水の値が示されていません。せめて脱水効果(G値、残水量)が示されないと、デリケートな扱い・すなわち・弱い絞りのように誤解される事が生じるのではないでしょうか。
個人的には、強く絞って水の影響を少なくしたいのですが、商品によっては絞りジワが出来るおそれがあります。
③乾燥方法が示されていますが、脱水率(G値or残水量)が示されていません。すなわち、W2法では排気温度60℃で6分とされていますが、衣服の残水量 によって乾燥の度合いが異なってきます。まして、W3法の40℃で2分の場の場合、残りはどのように乾燥するのですか。

 

4.商業クリーニングへの影響

 

・・・前略『この改正によって、商業クリーニング業者側の立場がある程度保証されることは確実になったといえます。』・・・中略・・『商業クリーニングの処理工程が、規格化される可能性も意味します。』・・・後略。
ただしこのことは、クリーニング業者の言い訳にこそなれ、けっして洗浄性が増すことでも、クリーニングが家庭洗濯より優位に立てるわけではないのです。
こころして、仕事に励まなければなりません。

 

5.表示のための試験は確実に実施されるか

 

・・・前略『繊維評価技術協議会法人正会員7法人だけで、これらの国内流通アパレルのすべての試験需要に対応することは物理的に不可能であると考えられま す。』・・・中略・・・『素材や構造の評価から推測される表示の組み合わせを行わざるをえないということになるだろうと予想されます。』
・・・後略。
とすると、これ以後の判断をクリーニング業者に委ねるということになりますが、現在のクリーニング業者には、この判断を下せるだけの力を持つものは極めて希ではないかと考えます。
もし、これが事実となれば、ウェットクリーニングの問題同様、相当真剣に勉強しなければなりません。

ページトップに戻る