クリーニングのトータルコンサルティング
2019年11月11日
年々カケツギ業者は減っているようです。需要の減退と職人の高齢化による現象が重なった結果だと思われます。そんな中、若手がこの世界に飛び込んで会社を作りました。
以下の写真は、その会社が私にくれた標本です。なかなかの腕です。
写真1-1 何処を直したか分かりますか |
写真1-2 そうです裏から見れば分かります |
もし、必要が生じたら、使ってあげてください。このような会社は、業界のためにも、育ててあげたいものです。
紬かけつぎ店
〒491-0859
愛知県一宮市本町1-2-6
TEL.0586-23-3988
URL:http://kaketsugi.jp/
最近よく聞く話です
--ドライクリーニングは油性汚れの油脂分を落とすための洗いでは無い。水洗いで型崩れさせないドレスを洗う。絹やウールなど凝ったデザインの衣料を対象に開発されたもの。それをどう間違ったか、油性汚れを取るためにドライがあると言う人がいる。ドライクリーニングはファッションのためにやっている。汚れを落とすだけなら水の方が良いということは昔から分かっている。ですからドライクリーニングの上手い下手はない。
この記事は、日本クリーニング新聞・2001年12月25日号に掲載されたものです。
サービス業は使う人の立場に立って?
--合成溶剤を扱うとき、メーカー側(溶剤メーカー、機材商)は全部重さの単位(Kg)で示し、「キロいくら」と言う。ところが工場で使う側は全部容量で言う。「何cc減った」と言う。互いが話をする時、どちらかに換算しなければならない。親父は「それで分かるのだからクリーニング業界はよほど頭が良い」と笑っていましたが、やはり使う側に立って直していくべきでは無いでしょうか。
クリーニングの問題と汚れ
--〈汚れ〉と言うとたいがいは「成分」の話になります。これでは、ドライクリーニングしたら不溶性や、水溶性の汚れは取れるわけはないとなる。しかし、洗ってみると不溶性も水溶性もかなり落ちるわけです。何故か?。
実は汚れが付いている「状態」の方が大事なのです。現実は水も油もごちゃになって付いているものだし、繊維に乗っているだけや入り込んでいるだけならタタけば落ちる。成分など関係ない。それが粘着しているなら問題になる。洗いとは成分ではなく、汚れの付いている状態をどう取るかが工場の仕事である。
今から18年前の記事ですが、これを読んで「何を今更言ってるの」と言える方が何人おられますか。今、同じものを書いても、何処もおかしくない、逆に言えば「変わらないのです」、このままでは業界は見捨てられます。本気になって取り組んでください。
この記事には、サービス業としてのクリーニング」、「溶剤の話・機械の話」、クリーニングの理論と実際」、「クリーニングの問題点」、「原価計算」等々が述べられています。
※油脂の汚れがよく落ちると解ったのは後で、先には、型崩れをしない洗い方があるということが先なのです。
汚れの状態に対して、何が付いているかよりどう付いているかが問題なのです。これについて洗い方(工程)を考えているのです。
これらの記事は、「毛利春雄セミナー公開講座」が20年目になるとの事で、日本クリーニング新聞社・坂東社長が2000年からの関連記事をコピーしたものをお持ち頂き、これを読んで記したものです。
写真のシャツ、あるクリーニング工場を訪ねた時に目にしたものです。
この夏、麻のカジュアルシャツ(濃紺)、麻のドレスシャツ(黄色)、綿・タオル地のカジュアルシャツ(紺)、紙のシャツ(濃紺)をクリーニングに出して、ただの1枚も思うように仕上がってきませんでした。
麻のドレスシャツは糊を付けて機械でプレス。麻のカジュアルシャツ、綿のタオル地のシャツは水で洗いっぱなしで、仕上をしない。
こちらが注文を付けない限り、このようには上がってこないのです。麻のドレスシャツでは糊を付けましょうかと聞かれた店もあるそうです。酷い時にはシャツをドライされてしまうのです。
こんな状況ですので、カジュアルシャツを見ると、過敏に反応するのです。しかし、このシャツ酷いと思いませんか。
写真は、シャツを順に拡大したものです。エリはきちんと折られていない、背中に汗ジミが見えている、生地の着シワがそのまま残っている、縫製の問題もあるのかも知れませんが、シャツをドライした典型的な例と言えます。
こんな出来上がりのシャツを「クリーニングしました」などと言っているから、お客様にそっぽを向かれるのです。
台風19号で、多くの方が水の害に遭われました。(災害に遭われた方々の一日も早い復興をお祈り致します)
水害の凄さはあった人しか解らないのですが、クリーニング工場では、第一にお客様の衣服の避難、時間があれば資材、機器備品の退避を考えます。そして、水が引いたら機器の復旧を考えるのですが、この時役に立つのがレクステンドです。
私自身は、20代の頃にいたランドリー工場、横の川が大雨が振るとよく氾濫し水に浸かりました。(幸いな事に、近隣の住宅は堤防で守られていました)。その度に、従業員に「工場が稼働(水が引いた状態)になったら、ドライヤーを持って出勤」と言われました。
私達は、従業員が出勤前に、機器の水に浸かった部分(電気の接続線、モーター、コンセント等)を開き真水で洗い、雑巾でざっと水をぬぐい、レクステンドを塗布しました。その後、従業員の持ち寄ったドライヤーで乾かしました。電気機器はこれで動くのです。
このような経験から、過去40年ぐらいの間に、この商品を何回か紹介してのですが、購入されたのは極わずかの方でした。
まして、その後、その方々がどのように使われたか知りませんでした。昔Fドライの社長が、「携帯電話を水の中に落として通話できなくなったので、試しに中を開いて『レクステンド』を塗布したら使えるようになったよ」と言うのが、唯一の答えでした。
このため、最近では話もしなくなりました。でも、今度の台風を聞いて思い出しました。
写真1-6は、我が事務所の私の本棚にある「レクステンド」。写真1-7,1-8は、名称と製造元。