クリーニングのトータルコンサルティング
2019年08月06日
今回は、徹底てきに商品について話したいと思います。
先日、A社とB社に似たような衣服をクリーニングに出しました。この時出しに行った山野さんが、帰ってきて伝票を見ながら「どうなってるの?」と言いました。
A社 上着、カジュアルシャツ 計2点 1,281円 (7/30→8/2)
B社 上着、カジュアルシャツ 計2点 2,766円 (7/29→8/7)
上着は、どちらもサマーウール、シャツはA社が麻のシャツ、B社が紺色の綿シャツ。どちらの上着にも衿にポツンとシミが付いてました。
どちらのカウンターでも、「上着には衿にシミがあります」「シャツは水で洗ってください」と申告しました。
結果がこの料金です。
A社には7月30日に行きました。シミ抜き料金については何もは言われなかったそうで、出来上がりは「8月2日」と言われたそうです。
B社には7月29日に行きました。カウンターでの応対を聞くと、シミがあると言ったら直ぐに「シミ抜き料金1,000円頂きます」と言われたそうです。シャツは、水で洗ってと言ったら「出来上がりは8月16日」と言われたそうで、もうチョット早くしてと言ったら「では8月7日」と言われたそうです。中、9日です。
ここで生まれた疑問、類似の上着に類似のシミ、類似のシャツを水洗い。
・どうしてこんなに料金が違うの?。
・シミ抜き料金、取ったり、取らなかったり、どうなっているの?。
・出来上がり、どうして2日と7日なの?。
今までの仕事の出来を考えると、A社とB社は遜色ない仕事です。でも、高いは、遅いはでは「どうなっているの?」です。
※伝票を写すと、どこの会社か判ってしまうので写しません。しかし、料金の違いは あるにしても、この差はチョットヒドイ。出た結論は「詐欺とは言わないけれど、 知ったら出せない」でした。
お客様は、クリーニングを近くにある、便利なところにあるが最優先で、出し比 べて内容まで検討することはありません。料金も料金表の字面だけで判断してしまう ので、細かい差は気づかないのです。
この夏、従来のワイシャツタイプの麻のシャツに加えて、3種類のカジュアルシャツを購入・着用しました。
1.カジュアルタイプの紺色・綿・タオル地シャツ。
2.カジュアルタイプの黒・麻シャツ。
3.カジュアルタイプの紺・紙(楮・三つ叉)のシャツ。
※全体とアップで色合いがずれているのはご容赦ください。
このシャツ、クリーニングの経営者、工場長クラスの方に見せると「水で洗います」と答えるのですが、現場では半数以上の方が「ドライ」と答えるのです。
「シャツは普通水でしょ」、まして夏のシャツは汗が付いているのが普通です。よほどカウンターからの指示でも無い限り、取扱表示にドライのみとの表示が無い限り、水で処理すると考えます。
実際は多くが「ドライ」で処理されるのです。商品を考えて、お客様のためにどうすべきなのか、今一度考えてください。
現在カウンターでドライクリーニングとして扱われる(ドライ品と一緒に袋に入れられる)商品の内、シャツ類(綿、麻、混紡品)、綿パンツ、合繊のジャンパー等々、20%以上が水の処理が適している(望ましい)と考えられます。
しかしながら、これらの商品を全て水で処理している工場は、20社に1社ほどだと思います。
これは、洗う設備(小型ワッシャー)が無い、ドライ設備から離れた所にある、乾燥設備が追いつかない、対応(低温)乾燥機が無い等々の理由から、納期に時間が掛かるので、ドライ処理する。また、水処理での「色が薄くなった」「表面が白っぽくなった」「風合いが変わった」等々のクレームの発生が怖いので、ドライ処理されているようです。
このため、写真のシャツ、どう考えても水で処理されるような商品にも、「ウエット」のタグが必要なのです。
※この商品にウエットのタグがいるということは、黙って工場に送られれば、現場で はドライされるということでは無いですか?。
一、合繊、混紡商品の普及に伴って、水で処理すべき商品はまだまだ増えます。
一、ワイシャツに替わって着用されるシャツ類は増えるのです、この商品が「高い」「遅い」ではお客を逃がします。
一、カウンターでのチェックが出来ないと、クレームは減りません。
一、取扱方法を統一しないと、品質が安定しないように見えます。
※もっと、真剣にクリーニングのことを考えてください。販促に力を入れるだけでは、桶の底に穴が開いている状態と同じです。
ワイシャツに付けられたタグ「プレス・たたみ きちんとお願いします」とあります。明らかにカウンターが万が一のことが無いようにと、わざわざ付けたタグです。
しかし、出来てきた商品、裏側『前立ての脇にシワ』、表側『前立てが曲がっています』 このタグは何のために付けられたのでしょうか。現場に聞いてみたいものです。
写真6は、先日モノレール蛍池駅で見た光景です。思わず、「良いクリーニング屋さんを紹介しますので、直してもらっては」と声をかけたくなりました。
クリーニング屋の皆さんは、このような服を見たらどんなことを思い浮かべるのでしょうか。
まさか、直し方が判らないというようなクリーニング屋さんはいないでしょうが、一人でも多くの業者さんが「是非、ウチに出して」という発言をして欲しいものです。