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サービスニュース-第55巻 第2号-1(今更ながら)

2019年02月04日

今更ながら

今更ながら、クリーニング業界の基礎データの危うさに驚きました。ワイシャツの1点単価を問うたところ、総務省のデータをと云われたのですが、このデータ、地域毎に出されているのですが、いずれもサンプル数が少な過ぎてあてになりません。
最近、市場の寝具類の数量とクリーニングを利用されている比較、ジャケット類の市場の数量とクリーニングを利用されている比較を調べたときもそうなのですが、基礎データが不確定なのです。
これに限らず、汚れを考えるとき、洗うことを考えるとき、仕上を考えるとき、業界のデータは30年も前の欧米のものしかないのです。でなければ、大学の家政科のデータを参考にするしかないのです。
昔、父(毛利可淳)が言っていました、自分のところ(毛利クリーニング科学研究所)では、頭とペーパーで出来る研究と、一人ででも出来る実験・データを作れるが、膨大な時間とサンプルが必要な事は、公的な機関か、大きな団体でしかとても出来ない。
大きな団体、全ク連・全協・生産性・Tema?。例えば、全ク連が事故事例の区分・分類データからデータベースを作ったとか聞いたことがありません。
※事故事例に関して言えば、テキスタイルケア協会のデータベースがかろうじてこれに応えています。
さらに言えば、ちまたで噂される「クリーニングに出すと衣服が傷む」という話を否定できていないのです。だれも、疑問に答えるべくデータを作ろうとしていないのです。
生産性協議会が蒸気圧と熱板の形状と温度と仕上時間とか、トラップの形状と熱板温度と仕上時間の研究、作業シフトと生産コストの研究とか作業マニュアルの作り方教室とか、作業トレーナーの訓練とか、カウンターの生産性工場の為の作業分析など聞いたこともありません。
私の経験から、ワッシャーの径が60~70cmのものと80cm以上の径のものでは汚れの落ち方が違うのです。何方も疑問に思わぬまま、ロットの関係上小型のワッシャーを使うようになったのでしょうか。洗いは、クリ-ニング業者の命ではないのでしょうか。
欧米の消費者、業界団体は、メーカーのデータに頼らず独自のデータを蓄積してメーカーと協議すると云われています。業界で、これに対応しようどころか、メーカーと差し向かいで話の出来る勉強をした方が少ないのです。
今後、業界が業界のために活動を考えるならば、前面に「クリーニングの必要性を」、中心に「業界の需要拡大のための機関を」、バックに「基礎研究と必要なデータベースの作成」を心がけてください。
 

目的と手段

最近は、リフォーム・リペアに力を入れたり、スニーカークリーニングを積極的に採用しているクリーニングがあります。何もスニーカークリーニングに文句を付ける気はありませんが、何のために(何目的で)スニーカークリーニングを始めたのかを忘れないでください。
 

写真1-1 最近の紙面より
写真1-1 最近の紙面より

衣服のリフォームはクリーニングと隣り合わせにあるケアの一種です。また、スニーカークリーニング、靴のクリーニングは衣料関連商品です。従って、クリーニングで積極的に扱うのに何の問題も無いのです。
新たなアイテムを作った以上、お客様に積極的にアピールし、業績拡大につなげなくてはなりません。
しかし、①これを機にクリーニングから新たな業態に変化をするのか、②これを売上の新たな柱としたいのか、③クリーニング顧客の固定化、需要の喚起としたいのか、目的をはっきりさせてください。
「今、スニーカーキャンペーン中、○○引きでお得に」などという販促を見ていると、先に挙げた例よりももっとひどい。キャンペーンという名のセールです。

 

クリーニングの未来は蕎麦屋と一緒?

ふと考えたのですが、駅前に、ホームに、立ち食いのリーズナブルなチェーン店の蕎麦屋が沢山出来、街中の昔ながらの蕎麦屋さんは極端に少なくなりました。古民家のような、または、シャレタ作りの落ちついた雰囲気の手打ちの蕎麦屋も増えました。
パン屋も少しこのような傾向にありますが、蕎麦屋さんほど極端ではないような気がします。
この状況は、クリーニング店舗のありようと似ていると思いませんか。駅前、スーパーにリーズナブルなチェーン展開のお店、また、ゆったりとした店舗や、高品質をうたった店が出来る一方、街中にあった小規模な・家族経営の店舗が極端に減少しています。最後の高品質という部分で、蕎麦屋の「100%国産使用・手打ちそば」、パン屋の「国産小麦・○○時、△△時焼きたて」ほどインパクトのあるフレーズが見せらないのが弱いのですが。
としたら、今現在のチェーン展開出来ていない独立店舗は、どのようにすれば生き残れるのでしょうか。
高品質をうたうのではなくて、「貴方のクリーニング」「貴方の衣服のケアを受け持つクリーニング」という信頼関係が作れれば良いのです。所詮、地域産業なのです。近くで安心して出せれば良いのです。近くにあることが最大の強みなのです。
だといって、手抜きのクリーニングをしていては決して生き残れないのです。高価な衣服にはそのようなコースを、加工が必要な衣服には加工を、クイックを求められているお客にはそのように対応しなければならないのです。要は、『信頼』を得ることが大切なのです。
そのためには、何が必要か、何を求められているのか、全てを白紙にして考え直してください。
この原稿を書いているときに、ふと「普通の蕎麦屋に行ってみるか」と思い妻を誘って隣のJR摂津本山駅近くの「にたろう蕎麦」に行きました。
『無いのです!』、昨年の年末建物の工事中に見えたので、改装でもしているのだろうと思っていたのですが、そこには立派なビルが建っていて「テナント募集」とありました。
「駅の反対側にもあったわよ」と妻に言われ、そこに向かうと、そこも店が変わっていたのです。
その後、阪急・岡本駅近くの「甲南そば」に行きました。
 

写真1-2
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写真1-3
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写真1-4
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写真1-5
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写真1-6
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写真1-7
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写真1-2から1-4は、いわゆる街のそば屋さん。
写真1-2は、「整体」の店に変わっていた元そば屋。
写真1-3は、阪急・岡本駅近くのそば屋。大型店と言えるそば屋。
写真1-4は、宇都宮のいわゆる街のそば屋。
写真1-5から1-7は、近年多く見られる店舗。

 写真1-5は、新大阪駅構内の立ち食いそば。(ファストフード)
写真1-6は、新大阪駅ビル内のそば屋。(好立地条件)
写真1-7は、新潟・長岡の大型店舗。(大型チェーンの本店)
以下は、私の好きな店です。この他に、新潟・新井に最近復活した「小そば亭」と云う店がありまが、再開後はまだ訪れていません。
 

写真1-8 越前・八助
写真1-8 越前・八助
写真1-9 讃岐・ふるかわ
写真1-9 讃岐・ふるかわ
写真1-10 泉州・蕎麦舎
写真1-10 泉州・蕎麦舎

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