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サービスニュース-第54巻 第7号-1(テキスタイルケアシンポジウムが開催されました)

2018年07月05日

日本テキスタイルケア協会シンポジウムが開催されました

6月21日に、日本テキスタイルケア協会第4回シンポジウム『高品位ファッション文化とその持続性のために』が、メルパルクホテル東京で開催され、参加致しました。
第一部、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、エトロとラグジュアリーブランドの話。第二部ウエットクリーニング機器開発の経緯、第三部、整形仕上による復元技法の教則本の概要という三部構成でした。
シンポジウムのプログラムは、この要旨の最後をご覧ください。
シンポジウムは、うたい文句に比して、中身を詰めすぎたようで、一部毎に一つのシンポジウムが開けたのではないかと思いました。
会は始めに、住連木氏のテキスタイルケアが衣服メンテナンスの将来を支える、お客様に支持される時代が来る、クリーニングだけでは衣服のケア産業は支えきれないと総括があり、開催されました。


第一部
ルイ・ヴィトン(近藤 修氏)→旅がテーマです。お客様の大切なものを包み運ぶ、それがカバンです。一番大切なのはその中身です。そしてカバン作りを通して、お客様の期待通りの仕事をしているかを、問い続けています。
モノ作りをするときには常に、優れた「品質」、続けられる「伝統」、時代に即した「革新」、を考えています。
このために、商品力、販売力、人材力を養い、ES(従業員満足)とCS(顧客満足)を得られるように心がけています。ブランド力とは総合力で成り立っていますが、提案する販売員の力が大切なのです。


クリスチャン・ディオール(キャロン 詩氏)→最初にディオールの生い立ちを紹介し、現代ファッションの発案者として名をなした彼の人となりを話されました。それは、若くして画廊を経営、その時に知り合った人々(コクトー、マチス、ピカソ、ジャコメツティ等)から受けた影響が大きいと言われています。
それを多くの人に知ってもらおうと、1947年2月21日初めてのファッションショーをしました。第二次世界大戦の1年半後、東京はまだ焼け野原のころです。
そして女性は、エクセレンス(卓越して)でエレガント(優雅・上品)でなければならない、をテーマにいろいろなものに挑戦してきました。
モノ作りには、リアクティビティとクリエイティビティが求められ、このためには忍耐力とサービス精神が求められると考えています。


エトロ(小柴 一郎氏)→ヨーロッパで1950年代から始まったプレタポルテ、我が国へは1960年代にインポーターによるブランド商品の導入という形で始まりました。1970年代、商社のビジネス参入により、ブランド商品のライセンス化が起こり、広くブランドが知られるようになりました。1980年バブルがはじけ、長い低迷時代が続きました。
しかし、近年、アッパーミドルの槽は厚くなっているといわれ、ブランド品の購入意欲は盛んです。
パリコレ(プレタポルテ)に遅れること10年、ミラノコレクションが始まり、アルマーニ、フェレ、ベルサーチの出品により広く知られるようになりました。
エトロは元々カシミール文様(ペイズリー織り)で知られる生地屋ですので、出品していなかったのですが、スカーフ、財布等をへて、衣装でも参加するようになりました。
エトロの話題の中で、何故、ファッションがパリ、ミラノというカトリックの地域で盛んになったのかという面白いテーマの話もありました。
 

写真1-1 シンポジウムで話す住連木氏
写真1-1 シンポジウムで話す住連木氏
写真1-2 詩氏
写真1-2 詩氏
写真1-3 小柴氏
写真1-3 小柴氏
写真1-4 私
写真1-4 私

写真は、シンポジウムで話をされたクリスチャン・ディオールのキャロン詩氏(写真1-2)、エトロの小柴氏(写真1-3)、懇親会で乾杯の音頭を取る私(写真1-4)です。写真の質が悪くて申し訳ありません。
 

第二部  テキスタイルケアにおけるウエットクリーニングの意味

JISの表示改正以来、ウエットクリーニングの需要が増えるのではないかと、安易に期待された面もありますが、このような処置を要求される衣服が増える事はありません。
しかし、ラグジュアリーブランド商品の大部分がこのような処置を必要とされるものなのです。
このような商品を出されるお客様は限定され、出されるお店に迷っていると言うのが現状です。
すなわち、テキスタイルケアという場こそ、このような商品の受け皿として認められてほしいのです。


TOSEI「微細気泡発生装置付きウエット機」→高液位にしてワッシャーの回転数を少なくし、機械力を小さくし、微細気泡による炸裂の衝撃による洗浄効果を求めた機械です。
  ワッシャーの叩き効果を極端に少なく、衣服にダメージを与えないようにと開発した機械。実際、MA試験布でのテストでは、MA値0~4という結果を出しています。


アイナックス「ハイブリットクリーナー」→近藤氏が企画された、ノズル式静止洗浄機を発展的に製作された機器。プレス機に似た台上に商品を置き、特殊なノズルから商品に洗浄液を吹き付け、同時にバキュームでこれを吸引する洗浄方式。いわゆるワッシャーを使わないので、MAは作用しないので、商品にダメージを与えることが無いのが特徴です。


三幸社「SW-100」→上記と同様の機械ですが、ノズル、バキュームをコンパクトにまとめ、機能を使い易く、デザイン性にも優れていると言われるように開発したと話されていました。

 

第三部 整形仕上げによる復元技法→三島良弘氏

紳士服が作られるまでに、人の体にそわせるために、タック、ダーツ、イセコミ、アイロン技法等いろいろな手法が用いられています。
しかし、これらは着用によって変形していきます。この変形は、軽いものであれば自然にもどりますが、多くの場合 着癖、体温、体重による圧迫、ウエットクリーニングによる変形の促進等そのままでは戻らない状態になります。
これを、アイロンの技法によって復元させることが出来るのです。この技法を駆使して仕事をされてきたのですが、少しでもテキスタイルケアのお役に立てればと、公開する事にされたそうです。
早ければ、この秋にでも教則本にまとめて、テキスタイルケア協会から出版・販売をしたいとの話でした。
 

写真1-5 第4回シンポジウムプログラム
写真1-5 第4回シンポジウムプログラム

汚れない白いジーンズ

羽鳥慎一モーニングショーで4日「明日のモーニングショーで、汚れないジーンズという画期的な商品を紹介します」と言われので、5日にこれを見ました。
要は、出来上がったジーンズのパンツに、フッ素樹脂による撥水加工をする事によって、汚れ(水)をはじくので汚れが付きにくい。注1)
こういう画期的な商品(ジーンズ)を開発しました、すごいでしょう、と言う話でした。注2)
フッ素樹脂の撥水加工はクリーニングでもされている方はおられるのですが、料金が高いと言う事でお客様の理解が得られないで、普及には伸び悩んでいます。
ゴルフの靴にする撥水加工、レインコート、スキーウエア等にする撥水加工は認知を受けているのですが、一般の衣服への加工というとまだまだ理解を得られないようです。クリーニング業者が自社の加工の宣伝を兼ねてネクタイにこれを施している例は多々あります。
注1)大量の加工剤による処理は多少肌触りが変わってきます。
注2)フッ素樹脂による加工は、古く(1938年開発)からあるもので、 一般的にはテフロン加工として知られるようになりました。衣服用とし ては住友スリーエムが発売している、スコッチガードがあります。
そもそも撥水とは、布地・繊維に水が浸透しないように、水の表面張力を大きく(水玉状に)しようと施される加工です。
この時に出来る、水玉の角度(θ)が大きくなるほど、撥水性が高いと云われ、この角度が150度以上のものを超撥水と言います。
 

写真1-6 撥水加工の説明
写真1-6 撥水加工の説明

ジーンズのダメージ加工を見ました

6月6日(水)、TCCの研修会で「ジーンズのダメージ加工」の工場を見学しました。詳細は、TCC/トンボグループの活動を参照ください。  ストーンウォッシュ、ブリーチアウト等古くからある方法は知っていますが、同様のダメージ模様をコントロールして施す、洗浄加工、分解酵素の利用、現在ではレーザー加工を活用されるということです。
着用者がクリーニングに理解のある人であれば問題ないとしても、一つ間違えればクレーム発生となりそうです。
心して、検品、品質表示の確認、洗浄方法の相談等対処すべきですが、今のカウンターの人で対応出来るのかと考えさせられました。

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